病理解剖の手順(簡略版)

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病理解剖(びょうりかいぼう)とは

病理解剖とは、病気のために亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、臓器、組織、細胞を直接観察して詳しい医学的検討を行うことです。これによってきわめて精度の高い病理診断ができ、死因を正しく理解し、治療の適切性についても検討することができます。

日本病理学会のホームページより引用

意義等については、日本病理学会のホームページなどでご確認ください。


私が以前、勤務していた国立病院での病理解剖の手順です。

可能な限り実際の手順や行為を忠実に記した(生々しい表現は省いています)つもりですが、私の思い込みや誤解があるかもしれませんのでご了承くださいませ。

貴重な機会を与えて下さった患者様に対して、解剖時と同様に礼意を失わないように体験を記します。

病理解剖の大まかな流れ

・主治医が病理検査室(病理医)に対して病理解剖の依頼をする。

・執刀医(病理医)と助手[病理検査技師(臨床検査技師)]は、解剖着に着替えて剖検(ぼうけん)室で待機する。

・患者は、ストレッチャーで(霊安室から)剖検室に入る。

・患者をストレッチャーから解剖台に移す。

・同伴してきた看護師が患者の衣服をとって全裸にし、患者の顔と陰部にガーゼを被せる。

見取り図:国立○△病院 剖検室

・主治医が術者たちに対して患者の臨床経過及び病理解剖の目的を説明する。

・全員で患者に礼意を表し合掌する。

・全身の外表の観察をする。

・両鎖骨下及び正中線を結ぶY字に皮膚切開する。

図:胸部から腹部にかけてメスで切開する。

・開胸し胸腔全体の状態を観察する。

・心臓、肺など順番に取り出していき、それぞれの臓器の長さ及び重さを測る。

・取り出した臓器の外観を観察し撮影する。次に切開して割面、内腔も同様に観察後、撮影する。

・続いて腹腔に移り全体の外観および個々の臓器及び血管の観察する。

・肝臓、消化管など取り出して、観察、計測後、撮影する。

・脳の解剖が必要である場合は、まず、右耳後部から頭頂を経由して左耳後部まで皮膚切開する。

・次に、手術用電動鋸で開頭し脳を取り出して観察、計測ののち撮影する。

・取り出されて肉眼的な観察や計測が終わった臓器は10%ホルマリン液につけて保存する。

・臓器の取り出しが終わったら(頭部及び)胸腹部の皮膚切開部を丁寧に縫合する。

・解剖台の上で患者の体をしっかり水で洗い流し綺麗にする。

・解剖の終了を病棟に告げる。(お迎え要請)

・看護師は患者をストレッチャーに移し死後の処置をする。
             ※エンゼルセット(死後処置セット)を使用する

・処置を終えると患者は看護師とともに退室する。

 
 

所要時間は2~3時間半。
(脳の解剖があれば、長くなる。)

・後日、10%ホルマリン液の中で保存されていた臓器の一部を、小組織片として切り出し染色して顕微鏡で観察するための組織標本(顕微鏡標本)を作製する。(50~60枚)

・病理医は肉眼所見と組織所見から最終の病理診断を下す。

・病理解剖診断書を主治医に提出する。

・解剖された症例のうちいくつかは、臨床医と病理医が集まり、CPC(臨床病理検討会)で討議される。


病理解剖の実施件数

日本病理学会の調査  患者の死亡後に行う「病理解剖」の実施件数が、最近30年間に全国で7割以上も減っていることが、日本病理学会の調査で分かった。医師の多忙や病院の費用負担が理由とみられる。診断・死因の確定や治療効果の確認、新人医師の育成に欠かせないため、医療の質低下への懸念が広がっている。同学会など

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