腹部エコー(超音波)検査では、腫瘤性病変探しはもちろんですが、臓器のサイズチェック(萎縮や腫大などの評価)も非常に大切です。
ここではおもな臓器の大きさや管腔の太さの基準値(正常値)を挙げていきます。
※施設(文献)によって計測方法、計測する臓器または基準値などが異なることがありますので検査前に必ず各自でご確認ください。
くれぐれも大まかな目安としてご覧くださいませ。
もくじ
各臓器の基準値
肝臓の大きさ(肝左葉)
【プローブの位置】
上腹部縦走査(心窩部縦走査)
【エコー上の計測位置】
肝左葉 | 基準値 | 腫大 |
【A】長さ | 7cm<【A】<11cm | 11cm以上 |
【B】厚み | 5cm<【B】<7cm | 7cm以上 |
参考・引用文献〔数値のみ〕:『腹部エコーのABC (日本医師会生涯教育シリーズ) 』日本医師会; 第2版 (2004/10/1)竹原 靖明 , 秋本 伸 、木村 邦夫 , 跡見 裕
肝臓の大きさ(肝右葉)
【プローブの位置】
右側腹部縦走査
【エコー上の計測位置】
肝右葉 | 基準値 | 腫大 |
【C】長さ | 9cm<【C】<16cm | 16cm以上 |
参考・引用文献〔数値のみ〕:『腹部エコーのABC (日本医師会生涯教育シリーズ) 』日本医師会; 第2版 (2004/10/1)竹原 靖明 , 秋本 伸 、木村 邦夫 , 跡見 裕
肝内胆管の太さ
肝内胆管 | 基準値 |
直径 | 1mm程度 |
胆嚢の大きさ
【プローブの位置】
(例)右季肋部縦走査(左下側臥位)
【エコー上の計測位置】
胆嚢 | 基準値 | 腫大 |
【A】長径 | 6~8cm | >8cm |
【B】短径 | 2~3cm | >4cm |
基準値 | 壁肥厚 | |
【C】壁の厚さ | 3mm以下 | 4mm以上 |
参考・引用文献〔数値のみ〕:『腹部超音波 A side−基礎と臨床のキーポイント37』森 秀明,竹内 真一 メジカルビュー社 2007-11-13 P214.P292
総胆管の太さ
【プローブの位置】
(例)右季肋部縦走査(左下側臥位)
【エコー上の計測位置】
総胆管 | 基準値 | ※拡張(以下参照) |
【A】直径 | 7mm以下 | >7mm (or 8mm以上) |
🔵セブンイレブン ルール Seven-eleven rule
肝外胆管の最大径を測定して次のように考える。
・7mm以下を正常、
・7~11mmはborderline※
・11mmを越える場合は明らかに異常※
【肝外胆管の解剖図】
肝外胆管と周囲の臓器の解剖
膵臓の大きさと膵管の太さ
【プローブの位置】
(例)上腹部横走査(心窩部横走査)
【エコー上の計測位置】
膵臓 | 基準値 | 腫大 |
【A】頭部 | 25mm以下 | >25mm |
【B】体部 | 20mm以下 | >20mm |
【C】尾部 | 20mm以下 | >20mm |
基準値 | 拡張 | |
【D】主膵管 | 2mm以下 | >2mm(or 3mm以上) |
基準値 | |
【E】大きさ | 14~16cm |
参考・引用文献〔数値のみ〕:『腹部超音波 A side−基礎と臨床のキーポイント37』森 秀明,竹内 真一 メジカルビュー社 2007-11-13 P223.P292
脾臓の大きさ
【プローブの位置】
(例)左肋間走査
【エコー上の計測位置】
🔵spleen index(スプリーン・インデックス)=【A】×【B】
脾臓 | 基準値 | 脾腫 |
spleen index | 20㎠以下 | >20㎠ |
※千葉大学第一内科の計測法
腎臓の大きさ
【プローブの位置】
(右腎)
(例)右側腹部縦走査
(左腎)
(例)左側腹部斜走査
【エコー上の計測位置】
腎臓 | 基準値 | 腫大 |
【A】長径 | 10~11cm | 12cm以上 |
【B】短径 | 4~5cm | - |
参考・引用文献〔数値のみ〕:『腹部超音波 A side−基礎と臨床のキーポイント37』森 秀明,竹内 真一 メジカルビュー社 2007-11-13 P221-233.P292
尿管の太さ
尿管 | 基準値 |
直径 | 5mm程度 |
腹部大動脈の太さ
腹部大動脈 | 基準値 | 瘤 |
直径 | 20 mm程度 | 30 mm 以上 |
参考・引用文献〔数値のみ〕:『超音波による大動脈・末梢動脈病変の標準的評価法』日本超音波医学会用語・診断基準委員会
シェーマ:bechi
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