薬剤師(やくざいし)
Pharmacist
調剤、医薬品の供給、その他薬事衛生を司る医療従事者。近代的な医療制度では、医療を施す医師・歯科医師と、医薬品を扱う薬剤師を分離独立させた資格制度(分業制度)をとっている。
種類 国家資格
分野 医療
認定団体 厚生労働省
難易度 ★★★★★(難しい)
日本の薬剤師制度
日本において、薬剤師とは、「調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上および増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保する」ものであり(薬剤師法第1条)、医薬関係者(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第1条の5)、医療の担い手である(医療法第1条の2第1項)。現在日本でこの資格を得るには6年制の薬学部を卒業後、薬剤師国家試験に合格しなければならない。
日本で薬剤師になるには、学校教育法に基づく大学において薬学の正規の課程を修めて卒業し、薬剤師国家試験に合格しなければならない。その後薬剤師名簿に登録申請し厚生労働大臣より薬剤師の免許が与えられる(12条)。薬学の正規の課程は、2005年以前に入学した者は4年制、2006年以降に入学した者は6年制である。
日本では医師・歯科医師に薬における権限が集中しすぎており、諸外国と比較して薬剤師は諸権限がない場合が多く、戦後徐々に諸外国並みの権限を持つようになってきているが、現状先進国の薬剤師制度から遅れており薬剤師後進国と言える。ただし、一部の病院・診療所では医師が診察、診断し薬剤師が処方を設計しそれを提案するという「薬物療法の担い手」として活躍している。医師は一般的に自分の専門とする科の薬物には詳しいが、他科の薬まで把握するには時間も労力も必要とするため、薬剤師に専門家としての意見を求める医師も増えてきた。医師が診断のスペシャリストなら薬剤師は薬のスペシャリストであり、6年間も薬の作用機序や副作用、相互作用および禁忌などを学んでいる。薬剤師ならではの薬力学的観点での医師への薬物療法の提案や、相互作用については医師にはない薬剤師ならではの知識である。薬物の体内での薬物相互作用や、医薬品の混合の際の化学変化についての予測や対応は、有機化学や物理化学の知識に長けている薬剤師の力が発揮される場面である。特に抗がん剤、抗生物質、精神科薬の分野では薬剤師が薬学的知識を生かして積極的にチーム医療薬物治療にかかわっている。
薬剤師資格は厚生労働省による薬剤師国家試験にて付与される(12条)。有資格者は、厚生労働省の「薬剤師資格確認検索システム」にて氏名を確認できる。
薬剤師資格に付与される資格
- 無試験・講習(薬剤師資格があることにより付与される資格)
- 毒物劇物取扱責任者/食品衛生管理者/衛生管理者/船舶に乗り組む衛生管理者 など
- 有試験(受験資格が付与される資格)
- 労働衛生コンサルタント など
- 有試験(選択科目が免除される資格)
- 弁理士、危険物取扱者など
この他に薬学部卒業時に受験資格が得られる資格もある。 また認定薬剤師、専門薬剤師の分野として薬剤師認定制度がある。
薬剤師の就業
薬剤師の業務は多肢に渡る。なかでも薬剤師法で一番にあげられる「調剤」は基本的な薬剤師の業務である。
- 調剤;薬剤師は、医師、歯科医師、獣医師が作成した投与が必要な医薬品とその服用量、投与方法を記載した処方箋をもとに調剤をすることができる。
基本的に一部例外的に医師に認められている以外は薬剤師でなければ調剤することはできない。海外で導入されている例があるテクニシャン制度も日本にはない。
薬局等における安全性の比較的低い医療用医薬品の処方監査・投薬業務のほか、安全性の高い医薬品(OTCや漢方薬など)の購入相談業務など内科医的な側面も併せ持つ。
一方で、病院・診療所勤務の薬剤師は、医師の指示のもとに業務を行うコ・メディカルとしての側面ももつ。特に2010年からチーム医療が推進され、医療の質および医療安全の確保から、積極的に薬学の専門家として薬物療法に参加し、医薬品に起因する問題を防止することがより一層求められている。
なお、薬局や製薬会社などで薬事業務に従事する薬剤師は独立した専門職である。例えば、薬局等の管理者は薬剤師でなければならず製薬会社や医薬品卸売販売業にも管理薬剤師を置かなくてはならない(医薬品医療機器等法第7条第2項:医師等他の資格ではできない)。独立した医療系資格の医師、歯科医師、薬剤師を医療3師と呼ぶこともある。他の医療資格と異なり、業務の場が医療機関だけではないのが特徴でもある。
「医薬品の供給」に関する業務においては、開発・製造から、流通、販売におけるまでほぼすべての分野で関与している。また「その他薬事衛生」に関する業務においては、医薬品以外でも世界各国で推進されているセルフメディケーションに関与する唯一の国家資格者としての責任を負っている。
ウィキペディア「薬剤師」より一部引用。
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