第六章 保険
①ハ航海ニ関スル事故ニ因リテ生スルコトアルヘキ損害ノ填補ヲ以テ其目的トス
○2 ① ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外保険法 (平成二十年法律第五十六号)第二章第一節 乃至第四節 及ビ第六節 並ニ第五章 ノ規定ヲ適用ス
第八百十六条
①ハ本章又ハ保険契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外保険期間中保険ノ目的ニ付キ航海ニ関スル事故ニ因リテ生シタル一切ノ損害ヲ填補スル責ニ任ス
第八百十七条
保険者ハ被保険者カ支払フヘキ①ノ分担額ヲ填補スル責ニ任ス但保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ負担ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ依リテ之ヲ定ム
第八百十八条
船舶ノ保険ニ付テハ保険者ノ①カ始マル時ニ於ケル其価額ヲ以テ保険価額トス
第八百十九条
①ノ保険ニ付テハ其船積ノ地及ヒ時ニ於ケル其価額及ヒ船積並ニ保険ニ関スル費用ヲ以テ保険価額トス
第八百二十条
積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益又ハ報酬ノ保険ニ付テハ契約ヲ以テ保険価額ヲ定メサリシトキハ①ヲ以テ保険価額トシタルモノト推定ス
第八百二十一条
一航海ニ付キ船舶ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ責任ハ荷物又ハ底荷ノ船積ニ①シタル時ヲ以テ始マル
○2 荷物又ハ底荷ノ船積ヲ為シタル後船舶ヲ保険ニ付シタルトキハ保険者ノ責任ハ②ノ時ヲ以テ始マル ○3 前二項ノ場合ニ於テ保険者ノ責任ハ到達港ニ於テ荷物又ハ底荷ノ陸揚カ終了シタル時ヲ以テ終ハル但其陸揚カ不可抗力ニ因ラスシテ遅延シタルトキハ其終了スヘカリシ時ヲ以テ終ハル
第八百二十二条
積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ責任ハ其積荷カ陸地ヲ離レタル時ヲ以テ始マリ陸揚港ニ於テ其陸揚カ①シタル時ヲ以テ終ハル
○2 前条第三項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八百二十三条
①ニハ保険法第六条第一項 ニ掲ケタル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 船舶ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ其船舶ノ名称、国籍並ニ種類、船長ノ氏名及ヒ発航港、到達港又ハ寄航港ノ定アルトキハ其港名 二 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ船舶ノ名称、国籍並ニ種類、船積港及ヒ陸揚港
第八百二十四条
保険者ノ責任カ始マル前ニ於テ航海ヲ①シタルトキハ保険契約ハ其効力ヲ失フ
○2 保険者ノ責任カ始マリタル後航海ヲ①シタルトキハ保険者ハ其変更後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其変更カ保険契約者又ハ被保険者ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リタルトキハ此限ニ在ラス ○3 到達港ヲ変更シ其実行ニ著手シタルトキハ保険シタル航路ヲ離レサルトキト雖モ航海ヲ変更シタルモノト看做ス
第八百二十五条
被保険者カ発航ヲ為シ若クハ航海ヲ継続スルコトヲ怠リ又ハ航路ヲ変更シ其他著シク危険ヲ変更若クハ増加シタルトキハ保険者ハ其変更又ハ増加以後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其変更又ハ増加カ事故ノ発生ニ影響ヲ及ホササリシトキ又ハ保険者ノ負担ニ帰スヘキ①若クハ正当ノ理由ニ因リテ生シタルトキハ此限ニ在ラス
①不可抗力
第八百二十六条
保険契約中ニ①ヲ指定シタルトキト雖モ①ノ変更ハ契約ノ効力ニ影響ヲ及ホサス
第八百二十七条
積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ船舶ヲ①シタルトキハ保険者ハ其①以後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其①カ保険契約者又ハ被保険者ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リタルトキハ此限ニ在ラス
第八百二十八条
①ヲ為スニ当タリ荷物ヲ積込ムヘキ船舶ヲ定メサリシ場合ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ其荷物ヲ船積シタルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク保険者ニ対シテ船舶ノ名称及ヒ国籍ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 保険契約者又ハ被保険者カ前項ノ通知ヲ怠リタルトキハ①ハ其効力ヲ失フ
第八百二十九条
①ハ左ニ掲ケタル損害又ハ費用ヲ填補スル責ニ任セス
一 保険ノ目的ノ性質若クハ瑕疵、其自然ノ消耗又ハ保険契約者若クハ被保険者ノ悪意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害 二 船舶又ハ運送賃ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ発航ノ当時安全ニ航海ヲ為スニ必要ナル準備ヲ為サス又ハ必要ナル書類ヲ備ヘサルニ因リテ生シタル損害 三 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ傭船者、荷送人又ハ荷受人ノ悪意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害 四 水先案内料、入港料、燈台料、検疫料其他船舶又ハ積荷ニ付キ航海ノ為メニ出タシタル通常ノ費用
第八百三十条
共同海損ニ非サル損害又ハ費用カ其計算ニ関スル費用ヲ算入セスシテ保険価額ノ①ヲ超エサルトキハ保険者ハ之ヲ填補スル責ニ任セス
○2 右ノ損害又ハ費用カ保険価額ノ①ヲ超エタルトキハ保険者ハ其全額ヲ支払フコトヲ要ス ○3 前二項ノ規定ハ当事者カ契約ヲ以テ保険者ノ負担セサル損害又ハ費用ノ割合ヲ定メタル場合ニ之ヲ準用ス ○4 前三項ニ定メタル割合ハ各航海ニ付キ之ヲ計算ス
第八百三十一条
保険ノ目的タル積荷カ毀損シテ①ニ到達シタルトキハ保険者ハ其積荷カ毀損シタル状況ニ於ケル価額ノ毀損セサル状況ニ於テ有スヘカリシ価額ニ対スル割合ヲ以テ保険価額ノ一部ヲ填補スル責ニ任ス
第八百三十二条
航海ノ途中ニ於テ①ニ因リ保険ノ目的タル積荷ヲ売却シタルトキハ其売却ニ依リテ得タル代価ノ中ヨリ運送賃其他ノ費用ヲ控除シタルモノト保険価額トノ差ヲ以テ保険者ノ負担トス但保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ保険法第十九条 ノ適用ヲ妨ケス
○2 前項ノ場合ニ於テ買主カ代価ヲ支払ハサルトキハ保険者ハ其支払ヲ為スコトヲ要ス但其支払ヲ為シタルトキハ被保険者ノ買主ニ対シテ有セル権利ヲ取得ス
第八百三十三条
左ノ場合ニ於テハ被保険者ハ保険ノ目的ヲ保険者ニ①シテ保険金額ノ全部ヲ請求スルコトヲ得
五 船舶又ハ積荷カ官ノ処分ニ依リテ押収セラレ六个月間解放セラレサルトキ
第八百三十四条
船舶ノ存否カ①間分明ナラサルトキハ其船舶ハ行方ノ知レサルモノトス
○2 保険期間ノ定アル場合ニ於テ其期間カ前項ノ期間内ニ経過シタルトキト雖モ被保険者ハ委付ヲ為スコトヲ得但船舶カ保険期間内ニ滅失セサリシコトノ証明アリタルトキハ其委付ハ無効トス
第八百三十五条
第八百三十三条第三号ノ場合ニ於テ船長カ遅滞ナク他ノ船舶ヲ以テ積荷ノ運送ヲ継続シタルトキハ被保険者ハ其積荷ヲ①スルコトヲ得ス
第八百三十六条
被保険者カ委付ヲ為サント欲スルトキハ①内ニ保険者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 前項ノ期間ハ第八百三十三条第一号、第三号及ヒ第四号ノ場合ニ於テハ被保険者カ其事由ヲ知リタル時ヨリ之ヲ起算ス ○3 再保険ノ場合ニ於テハ第一項ノ期間ハ其被保険者カ自己ノ被保険者ヨリ委付ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ之ヲ起算ス ○2 ①ハ保険ノ目的ノ全部ニ付テ之ヲ為スコトヲ要ス但①ノ原因カ其一部ニ付テ生シタルトキハ其部分ニ付テノミ之ヲ為スコトヲ得
○3 保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ①ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ応シテ之ヲ為スコトヲ得
第八百三十八条
保険者カ委付ヲ①シタルトキハ後日其委付ニ対シテ異議ヲ述フルコトヲ得ス
第八百三十九条
保険者ハ①ニ因リ被保険者カ保険ノ目的ニ付キ有セル一切ノ権利ヲ取得ス
○2 被保険者カ委付ヲ為シタルトキハ保険ノ目的ニ関スル証書ヲ保険者ニ交付スルコトヲ要ス
第八百四十条
被保険者ハ委付ヲ為スニ当タリ保険者ニ対シ保険ノ目的ニ関スル他ノ保険契約並ニ其負担ニ属スル債務ノ有無及ヒ其種類ヲ通知スルコトヲ要ス
○2 保険者ハ前項ノ通知ヲ受クルマテハ①ノ支払ヲ為スコトヲ要セス ○3 ①ノ支払ニ付キ期間ノ定アルトキハ其期間ハ保険者カ第一項ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ之ヲ起算ス
第八百四十一条
保険者カ委付ヲ承認セサルトキハ被保険者ハ委付ノ①ヲ証明シタル後ニ非サレハ保険金額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得ス